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今では過去の遺物となったブラウン管
もう、世の中にはブラウン管ディスプレーは存在意義がなくなりつつあり、急速に姿を消そうとしています。しかし、テレビの発明以来100年近く活躍してきたわけですから、無くなってしまう前に資料だけでも残す必要があります。
また、原理図はあちらこちらに紹介されていますが、メーカーがそれぞれ工夫している点が多く、見かけがまったく違うということもあります。そのため、いくつかのものについて実際に分解して紹介していきたいと考えています。
※ ブラウン管の発明 1897年
TV実験放送開始(英国放送協会 BBC) 1929年
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ブラウン管は電子銃から発射された電子ビームが画面(裏)をスキャン(走査)して画像を作り出すため、電子ビームを偏向される仕組みが必要になります。それが、ブラウン管の後ろについているコイル群です。高校物理では、一定電場中もしくわ磁場中での荷電粒子の運動について学習しますが、まさにその実用品ですね。水平、垂直用に4つのコイルから成っています。
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メーカーによっては、コイルのコアーが2分割できるものがあり、そのコアに単純にコイルを巻きつける構造ですが、このコアーは分割できずコイルはかなりややこしい巻き方がされています。
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ビーム加速用の高圧端子の部分は金属でできているのでドリルで簡単に穴が開きます。貫通と同時に「シュー」という音ともに空気が流れ込んで生きます。ブラウン管を壊すさい、空気を入れないままで壊すと大変危険です。絶対にしないでください。
電子銃がほしい場合は、できれはガラス用切断丸鋸できれいに切ったほうがよいのですが、付け根部分をハンマーでたたいて割った後整形してもよいと思います。というより、すべてガラスを取り除いてしまうと内部構造がよくわかりますね。
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このディスプレーは「富士通」のものですが、ブラウン管は「三菱」のものでした。各社のパソコンディスプレーにはよく三菱が使われていたようですね。
CRTはただでさえ分厚いガラスのため重たいのですが、内部にはさらに金属の重い部品が入っています。 |
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写真は、アパーチャ−グリルです。薄い金属板に縦方向に非常に狭いスリットを並べたものになっています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/アパーチャーグリル
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アパーチャグリルを拡大撮影してみました。顕微鏡の接眼レンズをデジカメのレンズの前において撮影しますが,なかなかきちんとピントが合ってくれません。一眼だと割りと簡単に撮れるのですが
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さて、いよいよ蛍光塗料です。以前分解したものでは「あれっ!?」とおもう糊状に近いものでしたが、今回のものは塗料のように塗られたものでした。
写真ではよくわからないかもしれませんが、ディスプレーはカラー表示できるものですから、蛍光塗料も「三原色」のRGBの三色に塗り分けられているはずですよね。目を凝らしてみてもわかりません。
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'11.10.07 |