簡単実験例を紹介します。

                                              

                     生徒全員がきちんと体験できる物を集めますが、単に「体験重視」するだけではなく

                     それなりの『定量実験』としても 耐えられるようにしていきます。

 

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  変 圧 器

  

変 圧 器

 

 

最近は,ほとんどの家電製品の中身を見ることができなくなってしまっていて,変圧器=トランス(transformer)がどこで,どのように使われているかもわからなくなっています。重い鉄心を使ったものはもうほとんど姿を消してしまっています。ACアダプタは変圧器の代表各だっつたのですが,今はインバーター式で軽く,小さくなっています。

写真の物は非常に重い鉄心を使った「電磁誘導実験機」ですが,変圧器の実験がいろいろできるようになっています。

 

教科書には,簡単な説明があるのですが,この写真のような器具を使って見せるという授業をされている人はほとんどいないでしょうね。

 

コイルの組み合わせを変え,二次電圧がどのように変化するかを見せてやって欲しいと思います。

 

 

20121230Induct.JPG

 

 

 相互誘導を見る前に一つ一つのコイルのインダクタンスを調べてみました。

 インダクタンスは,空心,鉄心 (開) ,鉄心(閉)の順です。

 「開」は 鉄心の「コ」の字の部分のみ,「閉」は 「ロ」の字

1.左端のコイル  5A,0.6Ω,250T 

    2.741mH    16.93mH     156.6mH

2.中央のコイル  2.5A,2.5Ω,500T 

    10.8591mH   67.14mH     596.0mH

          2.5A,2.5Ω,250T 

    3.406mH    17.02mH     157.13mH

3.右上のコイル  10A,0.1Ω,50T 

    0.101mH    0.706mH     4.852mH

4.右下のコイル  0.2A,8000Ω,23000T 

    29.15H    165.5H      測定不能?

 

インダクタンスはコイルの巻き数Tに比例しないですね。どうなるか,上の数値を良く見てください。 たとえば,1.と2.の空心の場合 250Tと500Tとで,それぞれ

  2.741 と 10.851

です。

2.のコイルの 250Tと500Tとでは,それぞれ

  3.406 と 10.851

です。コイルの断面積も影響するため,計算どおりではないですが,傾向がきちんと出ていますね。

 2012.12.27

 20121230trans.JPG 

20121230Volt_ratio.JPG 

 

 

では,一次コイルに交流電流を流し,二次電圧を測定することを考えてみましょう。交流100Vの商用電源を使うための一次コイルがどれか,間違えるとコイルが焼き切れてしまうこともあります。上のインダクタンスからインピーダンスを求めてみると,

20121230reactance.JPG

から

1.のコイルでは Z=2πfL=59.0Ω

2.のコイル500Tでは,  226Ω

しかないので,電圧比だけの実験をするのであれば,スライダックを入れて,一次電圧を下げてやるほうが良いでしょう。