簡単実験例を紹介します。

                                              

  生徒全員がきちんと体験できる物を集めますが、単に「体験重 視」するだけではなく

 それなりの『定量実験』としても 耐えられるようにしていきます。

 

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力のつりあい  New!!

2023.01.18


pulley.JPG


「マル棒」を量産し始めてから,ある中学の先生から「滑車を教える のに困っている」という話がありました。それで3Dプリンターで滑車を設計・印刷して左の 写真のような実験をしてお見せしました。その際に「中央の重りを手で支えて置き,手をはなすとどのよう になるか」と質問してみたところ,みなさんきちんと予想できるのですが,真ん中のおもりを二つにすると どうなるか,という質問にすると皆さん首を傾げたのです。

 では,ということで 真ん中ではなく左右どちらかにもう一つおもりを吊 るすとどうなるでしょうか。実験してみるとよくわかりますよ。

   

     force-1.JPGforce-2.JPG

 

以 下は 旧 2013の物です

  力のつりあいは中学でもそれなりの学習ができていて,「3つの力のつりあ い」についても学習してるようです。しかし,高校1年生に「物理基礎」の授業で確認してみるとかな りの率で理解できていない生徒がいます。

 

  左の図で,力1の大きさを7,力2の大きさを5とするとき,力3の大 きさはいくらかと聞くと,12と答える生徒が少なからずいますが,右の図のよ うに2つのばねはかりにおもりをつるし,それぞれのはかりの指す重さの和を聞くと, 「7+5=12」と答えるも生徒が増えてしまいます。

 

  そこで,2つのはかりの角度をもう少し開いて(または,逆に閉じて)やると,結果はどうなるかと質 問してみます。それでも,同じと答える生徒がほんの少しいます。

  では,完全に左右に引っ張り合いするとどうなるのかな?としてやると初めて納得してくれますね。

20131217force-1.jpg

 

改 良型

  この装置の狙いは,ばねはかりの荷重が糸の張力に影響を与えないようにすることで,「回転」の必要 性がないと考えられます。

  そこで,左のように簡易版をつくり,テストしてみたところ上の方式とは遜色の無い結果が出ました。

 

  いつものように,プラスチック板の裏にはネオジム磁石を貼り付け,表は「コ」の時に曲げた板でばね はかりを固定するようにしています。ばねはかりは取り外しもできるようにしたかったのですが,とり あえずの試作ということでホットボンドで固定しました。

 

20131217force-2.jpg

 

 適当な角度で実験するのが良いかもしれませんが,三角比が使いこなせな い生徒が多いことを考え,左右とも30°にしてみました。

 

 有効数字2 桁ではあるのですが,黒板に書いているような結果で,しっかり「つりあい」が示せるようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 右側を 45°にしてみたところ,ばねはかりを傾けている影響が幾分出たようです。

というより,ばねはかりにそれだけの精度を要求できるのか,という疑問の ほうが大きいですよね。

 形式的には,有効数字3桁の読み取りも可能ですが,この程度でとどめる ほうが良いかもしれません。

 

 ここまでやって,精度がどれだけ改善されたかを考え直してみると, ニュートンはかりにしたため,数値の桁数が減りかえって精度が落ちている気もします。しかし,力のつり あいの黒板実験が非常にしやすくなり,「ばねはかりが傾いてぶら下がっている」という違和感から解消さ れる点でとてもすっきりしたと自負しています。

         2013.12.17

 

 

 

force-3.JPG

 

 こ の実験ではまだ厄介なことが残っています。上の二つの力の分力をどのように求めるかです。黒板用の大き な直角定規をもって行き,作図で水平,鉛直方向に分解するか,黒板用の大きな分度器を持っていき,電卓 で分力を計算するかですが,どちらも教室に持っていく道具が増えてしまいます。

 1年生の「物理基礎」では,まだ三角関数が使えないので,直角定規を使 うしかありません。

 三角関数と電卓が使えることを前提にしたいので,せめて分度器だけでも 扱いやすいものを工夫したいところです。

 

 

 ※ もう,目処が立っています。近日中に公開します。

 

 

 

 

20121226force-4.JPG

 

 

 

   中学の場合,「平行四辺形の法則」しか使えないので,左の写真のように二つの直角定規を使って平行 四辺形を作図することで実験ができます。

 

結 果は,

 上二つ の力の合力の大きさはほとんど下向きの力と等しくなったのですが,方向は少しずれてしまいました。 このあたりももう一踏ん張りしたいところです。

 

 

 

 

    以下は、旧作です。  

 

20121225-force-1.jpg

 

 

ばねはか りはこのように斜めにつるして使うものではないですが,水平面上においておこなう「力のつりあいの 実験」が教科書にも出てくるので,斜めにつるしてもそれなりの結果が出せると思い実験してみると結 構良い結果を得ることができました。

 左の写 真がはじめに行った方法です。

  それぞれの力の成分は

   (-75,154) ,(66,34) ,(0,-185)

 となっているので,

 水平方向は少し誤差が大きめですが,

 鉛直方向は  154+34=188 ≒ 185 とかなりよい結果が出ています。

 

   ※ この写真は,確認前の写真でした。右斜めの力は 75 では無く,

     80 でした。 ですから,分力も少し大きくなり,

       (72 , 36 ) となります。結 果もよくなっていますね。

 

 

20121225force.jpg

 

  改良 1

 この精 度では満足できないので,少し工夫をした工作にしてみました。 上の写真で,右のばねはかりが糸と直線になっていないのがとても目障りで すよね。では,左の写真ではどうでしょうか。

 

 ば ねはかりを固定せず,糸の向きに合うよう回転するようにしました。左上の力は 168 になり,ほんの少しですが精度が上がったようです。

 

  もう少し,正確に測定のやり直しもして見ます。

 

 

 

  ※ この 回転支持機  も欲しい人には差し上げます。

    来月のファラデーラボの研修会に参加してください。

 

 

20121226force.jpg

 

 

  計 算しやすい角度に設定して実験しなおして見ました。写 真のような結果が出ていて,それなりに満足できる結果ではないでしょうか。(左側が今までどおり

の形です から,まだ改善の余地が有ると思います)

 

 水平方 向のつりあい

    69.0 ≒ 67.2

 鉛直方 向

    119.5+67.2=186.7 ≒ 185

 

 ばねは かりが 安物で結構雑な使い方をされていたものですからこれだけの結果が出せれば良しとしてよいで しょうね。

 

 年 明けにでも,ニュートンばかりのしっかりしたものを購入してやり直してみます。

 2012.12.26