簡単実験例を紹介します。

  生徒全員がきちんと体験できる物を集めますが、単に「体験重視」するだけではなく

それなりの『定量実験』としても 耐えられるようにしていきます。

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Q = C V   コンデンサーの容量を求める

 2016.01.20   実験プリントをアップしました。

 

090925capa.jpg

 

まえがき 

1F はその昔,巨大コンデンサーとして話題をさらったものですが,今となっては『巨大』ではないですね。最近,この手の「電気二重層コンデンサー」はすごく開発が進んでいて,1万 F を超えるものも市販され始めたようです。

120F >は数年前に購入したもので,一応 『巨大』 といえるものでしょうが,まだ1000円以上しています。

 しかし,1Fのコンデンサーは数百円で購入でき,かつ1Vで 1Cの電荷を蓄えるものですから,この実験にはうってつけのものとなるのではないでしょうか。

 しかし,注意すべきことがいくつかあります。その一つとして、特に注意してほしいことは、

測定方法によって、その電気容量はかなり違ってくることです。(各メーカーの説明にも書かれています) 表示値をそのままうのみしないでください。

  

 

 
 

 今回は,新しく実験器具を開発したので,定抵抗での放電で電流値の変化を測定し,そのグラフから容量を測定することにします。

この装置は,回路を組み立てるのが苦手な生徒が多いということを前提としています。

 この実験台に接続するのは,4本のコードで左の図にある電圧計と電流計を接続するだけです。デジタルテスターを使用する場合は,テスターリード(赤黒)2本だけです。

  

 10秒ごとの電流値を求めていきます。

  

 

 

 実験台の概要

 

 抵抗は取り換えることができるようにしています。コンデンサーは取り換えできません。

 いろいろな容量のものを実験したいという場合,違うコンデンサーを取り付けたものを数種類作っておけばよいでしょう。

 

実験の様子

 

   実験方法  

  使用器具

1F のコンデンサー,乾電池2本,回路板,抵抗,コード 4本,電圧計,電流計,ストップウォッチ,グラフ用紙,関数電卓

   (デジタルテスター一台でも可)

 実験

  ・ スイッチを左に倒し,5分程度(またはそれ以上)コンデンサーを充電する。テスターの電圧レンジで電圧を測る。テスターリードを抜き,電流計レンジに変え,リードを電流計の端子に接続する。(2台使用できるときはこの操作不要)

  ・ スイッチを右に倒し,放電開始。

  ・ 10秒ごとの電流値を求める。

  ・ その変化をグラフにかき込む。

    ※ 表計算ソフトを使うと,グラフもかける。

 

実験結果のグラフ

 

 

 

 

 

 

 最近は物理教室でPCが使えるようになっているようなので,表計算ソフトを使うのもよいと思います。

 特に,ある程度学力の高い学校では,左のグラフのような「片対数」グラフを使うとすごく教育的であると思います。

 

  指数が 「時定数」で,放電に使用した抵抗値とで容量が求まります。

  その際,コンデンサーの「内部抵抗」がものによっては10Ω以上あるので注意が必要です。

 

※ 電圧計は,できるだけ「デジタル」にしてください。アナログの電圧計は>内部抵抗が小さく,流れる電流が無視できません。

  また,測定範囲が狭いのも困ります。

  アナログ式しか使えないときは,電圧計をスイッチの左側に接続すると良いでしょう。

 

 

 

 

  以下は,旧作です。


 

101112QCV.jpg

 

 


 2010年 の生徒実験  1.0Fのコンデンサーを定電流で充電

 テスターは1つ使用しました。電流計は変化を見やすくするためアナログにしました。

  テスターは電圧計としてます。かっては昔ながらのアナログ機器を使用していましたが,電圧計の内部抵抗が邪魔をして,あまり良い結果が出せませんでした。

 定電流装置をあえて使わず,可変抵抗器を生徒に調節させました。こんなことでも,結構喜んで必死になってくれますよ。

 写真左下のテスターのように,1000円もしないものでも立派な結果を出してくれます。

 
 

 

 

 

 

ごめんなさい。

 

グラフが消えちゃいました。       

 
 

  10mA の定電流充電としているので,横軸の10秒は0.1Cになります。 大容量コンデンサーは初期値として電荷を0 にするのが困難なため,グラフの原点がそろいません。

 多少のことは目をつむり,電荷と電圧が比例関係になっている点に注目してください。(横軸は電荷と見てください)

  

※ 20131128 再考察

 過去の例から,コンデンサーの容量はコンデンサーに書かれている数値とほぼ等しいと思い込んでいて,定量的な確認を怠っていました。

 よく見ると左のグラフからはそのような結果は出てきません。

今年の生徒実験でも同様にすこし×××です。

   単一では,0.435 F

      直列では,0.208 F

      並列では,0.625 F  となってしまいます。

わたしが測定しなおしてみても,

   単一では,0.782 F

      直列では,0.208 F

      並列では,0.625 F  となってしまいます。