簡 単実験例を紹介します。

  生徒全員がきちんと体験できる物を集めますが、単に「体験重視」するだけではなく

  それなりの『定量実験』としても 耐えられるようにしていきます。

 

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 New!!     2022.08.30

 新・コンデンサーに流れる交流

実 験プリントはここから

  この実験用の器具は15台が貸し出し中です。さらに新しいものを制作中です。是非ご検討ください。

     

 

 ひどいテキストには「コンデンサーは電気を通さない」と書いていたりしますが、電 圧が変化する場合はまるで導体のよ うに 電流が流れます。ましてや、交流電流となるとコンデンサーは,ごく普通に電流を流すことが可能で す。

 前作の実験でもその様子を体験できたのですが、学校での実験を想定して簡単な方法を紹介し ま す。基本の回路は左のようなすごく簡単なものです。

 電源は「実験用AC電源装置」から10V程度の交流を供給します 供給します。

 用意するものはというと、

  コンデンサー(47μF程度),抵抗(100Ω),  コード,デジタルマルチテスター,交流電源(60Hzまたは50Hz)、コンパス,分度器,電卓

だけです。

コンデンサーは電解コンデンサーでOKです。

   ※ 2017.1  一部訂正 2019.12.14 一部訂正


下は旧作

 この実験装置は実験台を塩ビ版で作っていましたが,新たに3Dプリンタで作り変えました。  

              New 2022.08.30 


ここでは、電源は左の写真のような10V程度の変圧器を使用しています。端子に電解コンデン サー と抵抗を直列に接続し、上の回路図にある3か所の電圧を測定し、 電圧と電流の位相ずれ を 「電圧ベクトル」 として作図で処理していきます。

 直流の強が済んだ段階では、

 

  V = VC + VR

 

が成り立つと考えてしまうでしょうが、測定を終えた段階でそうではないことに気が付きます。


  

  

    

コンデンサーを流れる電流と電圧は位相が90°ずれているので、左のようにすべて電圧(ベク ト ル)で作図して表します。理想のコンデンサーでは直角三角形になるのですが、現実のコンデンサーは いろいろな要素を持つため、少し90度より小さい角度になります。

 

 その要素はというと、メインになるのは

 寄生抵抗 です。これはコンデンサーと並列に並んだ状態と考え慣れ、現象としては「漏れ電 流」 として出てきます。そのため、図のβは90°より少し小さくなります。

 また、最近の大容量コンデンサーでは直列に入る「内部抵抗」も顕著になるようです。

   CR回路電流.JPG

 

 

 

 

 

CR回路リアクタンス比.JPG

 

 

 この図を基に、 

2)  V と電流IVR と同位相)の位相のずれ
     α=        

Vc と電流I の位相のずれ
   
β=        

 

3)  抵抗RVR から電流値 I を求めます。

        

 リアクタンスからコンデンサーに流れる電流を求め,抵抗RVR から求まる電流値と比較してみると明らかに等しくなりません。

 

 

では、         

VcVR との比が,抵抗R とコンデンサーのリアクタンスの比に比ることから,コンデンサーの容量C を求めてみましょう。  

 

 V と電流I (VR ) の位相のずれαの値を左の式から求め,作図で求めた値と比較してみましょう。

 

   

      R=99.3Ω  ,=45.88μF 

          (RLC測定器を 使用 して測定したもの)


   V=9.86V  , Vc=5.12V  , VR=8.38V 

 

    α=31.8°,β=89.5°

 

    

 

βの値は良すぎます。ACの変動がかなり大きいため、結果として非常に良い値になっているか もし れず、もう少しきちんとした計測をしてみます。

   

   思い出 !!

 ・ 我々が高校生の頃の実験では普通に100V以上の電圧での実験を行っていましたが、今 はそ んな怖いことはできません。