なんでも確認しましょう。

         何気なく疑問に思うことや,当然と思い込んでいることなど,できるだけ実際に

     測定することで,『物理家』として恥をかかないように努めましょう。

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 三相交流について


  東北の震災以降,電力需要についてよく話題になるようになりました。感情論的に 「脱原発」 を唱える人も多いですし,「再生可能エネルギーですべて大丈夫だ」といったことを唱える人も増えています。
 
 しかし,現在電力がどのように供給され,どのように消費されているかを知らずに議論することは有意義なものにはなりません。何事でも,きちんと知識を元に現状分析をし,多面的に議論すべきでしょうね。

ここで原子力問題を取り上げるつもりはまったくありませんが,普段私たちが使っている「商業用電力」についてあまりにも知られていないことが多いので,基本的なところをすこし整理して見たいと思います。

 

 

  私自身も詳しくなかったのですが,多くの人がまったくいってよいほど理解していないのが「三相交流」です。単に三本の電線が使われているからと言って
  
   「我が家には三相交流が入っている」

 と思い込んでいる人は非常に多いようです。
特に,大型エアコンなどで200ボルトを使用している人は特にそう思い込んでいるようです。


家庭で使われる交流

  普通の家庭で使用されているのは,「単相三線式」交流と呼ばれるもので,赤,黒,白 の3本の電線で供給されていて,白を基準にしてそれぞれ100ボルトになっていて,単に2系統に分けて使うと言うだけです。

 ただ,赤と白の2本の線で使用すると 200ボルトが使えるようになっていますが,使用できる電化製品は非常に少ないと思います。また,そのためのコンセントもない家庭が多いと思います。我が家は一部のエアコン用に設定されています。 


 

学校,工場や一部の農家 で使われる交流   

  三相交流 または 動力線 と呼ばれています。一般家庭では契約変更しないと使えません。送電効率が良いなどの利点がいくつかあるようです。また,基本的には200ボルト(低圧)またはそれ以上(高圧)での使用が前提で,100ボルトでは使えないようです。

 

    3本のうち,どの2本をとってもすべて同じ電圧です。

 詳しくは,  こちらを  !!        

 



 

 三相交流は単相に比べ送電線一本あたりの輸送電力量が幾分大きく,動力としての使用を前提とするため?,3本のうちの2本だけで使用するのは効率的に望ましくありません。そため特殊な変圧器で末端の消費者に送る必要があるのですが,職場の近所の電柱を確認してみると左3枚の写真のように組み合わせを変えながら2本ずつ使用しているのがわかりました。

  この3箇所でワンセットととし,均等に使用することで有効利用しているのかと思われます。  

 ちなみに,ぶら下がっている大きな「缶」 はトランス(変圧器)ですが,ここから単相交流になります。

  (1次側は おそらく6600ボルト,2次側は低圧単相3線式交流
        です。)

 ここは,右側 2本を使用。

 

 

 

   ここは,左側 2本を使用。

 

写真の左へ出ている一番下の3本線が民家に入る電線です。

 

 

 

 ここは,両側 2本を使用。

 







   同じ系統から本校に入っている動力線です。


   四角い箱は遮断器か何らかの安全装置と思います。



 

 

 

   ちなみに,我々は普通三相交流を使うことはありませんし,使える環境にもありませんが,どういうわけか本校の物理準備室には三相200ボルトのコンセントがあるのです。分配器には「ドラフト用」とかかれているのですが,物理準備室にドラフトはありません。その昔,何かに使っていたのでしょうか。今までの学校にはこんなものはありませんでした。

   単相では 赤,黒,白の三色ですが,三相では,赤,青,白の三色になるようですね。

   写真中央部に 緑色 のコードが見えます。これはいわゆる

    「アース」です。最近,パソコンなどでも,コンセントが3Pになっているものがありますが,日本の普通の家庭ではまずそんなコンセントを使っているところは無いと思います。

 大学では(少なくとも理系の)コンセントはほとんど3Pになっており,コンセントの3つの穴のうち 下にある丸い穴の部分はこのアースになっています。

  本校でも,せっかくのこの緑の線が この分電盤で止まっており,コンセントまでは接続されていません。

 静電気の実験をする際に,自分の身体に静電気が溜まってしまい困ることがあるのですが,この線が教室まで来ていると助かるのですが・・・



 


 まだまだ続きますよ。