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滑車の実験装置の制作

 '18.08.13



 滑車は高校のみならず,小中学校でも学習する内容のようですが,日常生活の中にその利用例が見当たらなくなり「滑車のことがわからない」という教員が増えているそうです。

 

 私がまだ若かりし頃から,滑車の実験装置を作ろうとはしていたのですが,他にも作らなければならないと思うものが多すぎで忘れ去っていました。


 今年になって若い先生がこの実験をするということをお聞きし,昔作ろうとしたものの製作に取り掛かりました。


  定滑車と動滑車をそれぞれ複数使用し,かなり重たいものをぶら下げ,ごく小さい力で持ち上げようというものです。

重いものとして,昔の先生方の多くがやっていた,自分の体も使えることを目指します。


 また,高校での教材ということであれば,仕事の原理をきちんと学習できるようにします。




                                 2018/05

 



 

 動滑車側にはボルト一本で簡単におもりを取り付けられるようにします。これはコンクリートのおもりで,その質量は27キロということです。万が一,落下させてしまった時のことを考慮し,底面には分厚い発泡ウレタンを貼り付けています。


 では,製作方法について説明します。

 

 

  使用する主なパーツはこれだけです。あとロープが必要ですが,簡単に入手できるものの中から選ぶ必要があり,色々探しました。どこのホームセンターでも販売している「トラックロープ 6 mm」の長さが20 mの物にしました。1000円ほどです。 


 写真左側は,トレーニングマシン用の滑車で,直径95ミリともう少し大きいものが欲しかったのですが,良いものを見つけられませんでした。

 右上の板は,滑車を支える鉄板です。右下は,滑車を固定し,吊り下げのロープをくくりつけるためのボルトです。

 

 この実験装置の製作において一番のネックになるのが鉄板の工作です。出来合いのもので済まそうとしたのですが,適当なものがないため自分で工作することにしました。少し工作道具があればできるので是非チャレンジして欲しいですね。  



 

 鉄板はホームセンターで販売されている,

  幅 38 mm ,厚さ 3 mm ,長さ 1.8 m

のもので,600円程度です。切断は金切りのこや電動ディスクグラインダーなどを使ってください。穴は直径 10 mmですから,電動インパクトドリルなどを使用するる必要があります。最近はDYIブームで,これらの電動工具はかなり安価になっているので是非一台購入してください。


 そのままでは鉄板は錆びやすいため,表面の錆や汚れを綺麗に取ってから適当な塗料で塗装しておきます。

 

 滑車はトレーニングマシン用の物で,ネットショップでは1 個400円程度購入できます。軸の部分にボールベアリングが入っているものを選んでください。吊るすおもりが数キログラム程度のものであればボールベアリングがなくても良いのですが,ベアリングがないと摩擦が大きくなり実験が良い結果につながりません。


 使用するロープはある程度太い方が良いのですが,この滑車の対応するのは 6 mmのロープです。7 mmのロープでも使えますが,滑車から外れやすくなるようです。

 

 定滑車側は 3 本のボルトで組み立てます。中央の滑車を固定しているボルトはしっかり締め付け,ダブルナットにしてボルトが緩まないようにしておきます。
 端の一本は滑車全体を吊るすためのもので,もう一方はロープの端を固定するためのものです。


 動滑車側も同様に固定します。 上から2枚目の写真を参考にしてください。

 

 


 

  この装置を使用する実験は教室でも行えるように考えていますが,科学イベントなどで使用する際には,滑車を吊るす場所がないこともあります。その際には,植木屋さんが使用する三脚脚立を使うと良いでしょう。公務員室にあるかも・・・


 一般の脚立でも可能です。

 


 この装置の材料の購入代行をします。
ロープを含め,5000円を予定しています。
鉄板の加工を含みます。

ご希望の方は是非・・・

 滑車が三連になっているため,色々な使い方が可能です。単に「すごく軽い ! 」でも良いのですが,ロープの途中を引っ張ることでその変化を体感することができます。

 同時におもりが持ち上げられた高さと,引っ張ったロープの長さの比較 (仕事の原理 )をして欲しいですね。


※ ここで使用している三連の滑車は色々探して見当たらず,自作したのですが「モノタロウ」さんで販売されているそうです。

 

一番上の写真には,説明していないパーツがもう一つあります。「コ」の字の形の鉄板ですが,滑車を三脚脚立に吊るすのに便利になっています。