簡 単実験例を紹介します。

生 徒全員がきちんと体験できる物を集めますが、単に「体験重視」するだけではなく

  それなりの『定量実験』としても 耐えられるようにしていきます。

 

→Home    →簡 単実験のメ ニューへ 

 

動滑車の 実験

小学校用の実験         2018.09.28

 


 

 

 元々は高校物理基礎における「仕事の原理」の学習用として開発する計画を 古くから持っていました。しかし,今年に入ってから若い先生が「青少年のための科学の祭典」で実験した いということで開発をスタートしました。実験そのものは全く新しさはないのですが,最近はこの手の実験 装置がなくなっている学校がほとんどのようですし,子供が 「自分自身を持ち上げる」  という実験をしている学校もないようなのです。左の写真は我が家の庭で組み立てた様子です。


 三本足脚立に定滑車,動滑車共に三つの滑車を吊るし,下の動滑車には27キロのコンクリートの塊を ぶら下げています。このおもりをそのまま持ち上げるのは大人でも結構重いものですが,この滑車を使用す ると27キロの 1/6 の大きさの力で持ち上げることができるのです。これは小学生 でも簡単なことです。


 これをさらに進め,子供達がすごく楽しんでくれる実験にします。おもりの代わりに 「自分自身」を吊 るし,それを自分の力で持ち上げるのです。 今度は力の大きさがお守りの重さの 1/7 に なります。


 滑車は直径95 mmで,トレーニングマシン用のものてす。プラスチック製ですが,ベアリングが入っていて耐荷重も 100 kgW程度あります。万が一この滑車が破損しても,支持しているボルトが 12 mmもある太い鉄製ですから落下してしまう心配はありません。




 

 滑車がそれぞれ3つで引き上げる力がなぜ 1/6 になるのか,小学生ではわからないことが多いようです。中学生や高校生でも正しく理解できていない場合が多いようです。

左の図を見るとわかるでしょうね。「糸」6本が下の動滑車を支えています。その力の大きさは全て等し く「 f 」で 6 つあります。糸 1から糸 5まではそれぞれ「釣り合う」べき力が上にあり,糸 6 は右斜め下に引く力と釣り合うことになります。

結果として,6 つの力とおもりのおもさ「 W 」が釣り合うことになります。






2018年夏の青少年のための科学の祭典 姫路会場大会で姫路東高等学校の化学部の生徒さんたちがこ の装置を使い,小学生にしっかり楽しんでもらいました。

 この場合,ロープの最後を子供自身が持っているため,持ち上げる力の大きさは 1/7 になりますね。





  この子も楽しそうに!!





 なんらかの梁に定滑車部を吊るします。教室で実験する際は,出入り口の梁を使うとよいでしょうね。

 左の写真でロープをかけている「コの字」の金具は三本足脚立に直接吊るせるようにしてます。

 ロープは太さ 6 mmのトラックロープです。 (写真ではタイガーロープを使っています。これでも耐荷重性は十分あります)ロープの一端は,動滑車下にあるボルトに固定します。

タ イガーロープを使っています

定滑車の下には金具が伸びていて,そこにあるボルトに色々なものを吊るせるようにしています。


 おもりはホームセンターで販売している物干し柱を立てたりするのに使う台で27キロあります。




 ロープの他端を手で引きます。おもりは (滑車と合わせて )28キロ程度もあるのですが,その 1/6 の5 kgw弱の力で簡単に持ち上げることがてきます。
子供達からも「えっ・・・」という声が聞こえると思いますよ。

 中学高校性では,仕事の原理の説明が実感できます。おもりを 1 m 持ち上げるには,ロープを6 m も引っ張る必要があるのです。





 この装置は貸し出しができます。また作ってみたい人には材料を手配します。材料 費は5000円です。

  ※ ネット通販で「二車スナッチ」という二連滑車が購入できます。ホームセンターでもあるかもしれませ ん。二台買えば出来上がります。



 動滑車の実験装置
  

かっては実験装置は「できるだけ大きく,感動も大きく」を目指していました。多くの人が,教科書だけ で勉強して,面白くない」と言っていて,「体感できる」実験を望んでいます。しかし,なかなか実現でき ないのが現状でしょうね。

 この春になり若い先生が小学生向けに「動滑車」を使った実験をするというので,早速作ってしまうこ とにしました。小学生が数十キロもある重いおもりを軽々と持ち上げる。さらには,自分自身も・・・

 
 小中学校の先生から「滑車のことがわからない」という声を聞きました。特に動滑車がわからないそうです。 市販のドリルなどを見ても,試験のための問題になっているものが多く,「何のために使うのか?」という意識 がないですよね。中学校の場合,「仕事の原理」まで実感できるようにしています。